飼うまでのきょうかしょ

保護猫の里親になるまでと、なった後の注意点を譲渡経験者が解説!

猫を飼う方法の一つとして、「保護猫の里親になる」という方法があります。ペットショップやブリーダーから買うのではなく、野良猫を保護している人や、飼えなくなった人から譲り受ける方法です。

猫を飼いたいという夢が叶うだけではなく、猫の命も救えるというとても魅力的な方法ですが、保護猫だからこその注意点がいくつかあります。

ここでは、保護猫の里親になる前に知ってほしいことや注意点、そして迎え入れてからの注意点も実際に譲渡を経験した私が紹介します。

猫の里親になることは命を救うということ

まず最初に知ってもらいたいこととして、猫の里親になるという選択は間違いなく良い選択です。少し大げさな話ですが、その判断は一つの命を救うことができるからです。

そもそも里親を必要としている猫は、何らかの事情で新しい飼い主を必要としています。例えば、野生で生まれてしまった猫や、病気や経済的な理由で飼育できなくなった猫たちです。そして、そのような猫たちは日々増え続け、今、この瞬間も新しい飼い主を待っています。

また、保護猫の里親になるということにはいくつものメリットがあります。

保護猫の里親になるメリット

  • 猫の命を救える
  • 購入費用がかからない
  • 既に必要なワクチン接種済みな場合が多い
  • 猫それぞれの情報が多い

猫の命が救えることはもちろん、人間にとっても経済的な面や、飼育するための情報を得られる面でもとてもメリットが大きいです。

ペットショップ等で購入すると大体5万円~20万円程します。そのような購入費用がかからない分、迎え入れる猫への準備費用にあてられます。

また、やんちゃな子なのか、おとなしい子なのか、どういうところに注意が必要な猫なのかも、保護猫の場合既にわかっている情報が豊富です。

デメリットはすぐに飼えないということ

逆にデメリットとしては、すぐに飼えるわけではないということ。保護している人など、現状の飼い主とコンタクトを取り、譲渡方法などの連絡が必要になります。

ただし、時間がかかってしまう分、その間に必要なものを取り揃えたり、猫が快適に過ごせるよう万全の準備をしておけます。今後一緒に生活していく猫のためにも、この時間も有効に活用できます。

里親募集中の猫を探す前に、猫との生活を想像する

「そうと決まれば早速里親募集中の保護猫を探そう!」と行動する前に、一つ注意点があります。それは、猫との生活を想像するということ。

猫と一緒に暮らし始めると、あなたの生活は大きく一変します。猫の世話に時間がとられることはもちろん、金銭的にも毎月一定以上の出費が出ます。そのため、保護猫を探す前に今一度、ちゃんと共に生活していけるか想像してみてください。

世話は最低でも1日1時間必要

ご飯や水の準備、トイレの清掃など最低限のお世話なら30分もかかりません。しかし、さらに大事なことが猫とのコミュニケーションです。遊んであげてストレスを発散させたり、様子を見てどこか不調な部分が無いか確認する必要があります。

そのような時間も含め、最低でも1日1時間、猫に時間をかけても問題ないか想像してみてください。

飼育費用は大体5,000円、予期せぬ出費も想像してみる

大体猫にかかる月の費用はエサ代、猫砂代等合わせて5,000円程です。安定している時期は他のペットと比べてもあまり費用のかからない部類ではありますが、猫の怪我や病気の治療費など、思わぬ出費が発生することも当然有りえます。

そのような予期せぬ出費にも対応できるかどうかもしっかり想像してみましょう。

里親を募集している猫の探し方

保護猫の里親になるメリット・デメリットを知り、猫との生活も十分に想像し問題ないと判断できたら、いよいよ里親募集の猫を探します。

と言っても、どこで・どうやって・どうすれば里親になれるのかわからない方も多いことでしょう。そこで、里親募集中の猫の探し方とそれぞれの注意点を紹介します。

里親会・譲渡会で保護猫を探す

里親を探す最もポピュラーな方法が里親会・譲渡会に参加することです。各地の行政や保護団体が定期的に行っており、実際に里親募集中の猫を見に行くことができます。

「江東区 猫 譲渡会」などで検索すると告知情報を探すことができますので、お住いの地域で一度調べてみましょう。中には事前予約が必要なところもありますが、最近は予約無しで行ける譲渡会もありますので、情報収集のためにも一度訪れてみても良いかもしれません。

そこでもし気になる保護猫を見つけられれば、迎え入れるためにどのような条件があるのか等、保護している人との話し合いに移ります。

譲渡会での注意点①:すぐその場で里親になれるわけではない

気になる猫を見つけた場合、すぐその場で里親になれるわけではありません。責任を持って猫と生活できるかどうかを見極めるためにも、一定の条件が提示されます。

条件としては、万全な飼育環境が整えられるか、家族全員が同意しているか、経済的に問題ないかなど、飼育する上でこの人に任せて大丈夫かどうかを徹底的に確認されます。また、「1歳になるまでに避妊・去勢手術を行う」という条件もよくあります。

よく、このハードルが高いという声も聞きますが、猫と一緒に生活する上でどれも必要な条件であり、そう難しいものでもありません。

譲渡会での注意点②:営利目的の団体に気をつける

非常に悲しいことですが、保護団体の中には営利目的で活動している所もあります。譲渡にかかる費用として、保護していた間にかかった飼育費用や、運営協力金と合わせて2~3万円程度が主流です。しかし、中にはこの額を大きく飛び抜け、5万円以上を請求してくる団体もあります。

確かに、保護した猫によってはウィルス検査やワクチン接種、必要な治療費がかさんでしまう場合もあります。5万円以上を超える譲渡費用がかかる場合は、その内訳をしっかりと把握しましょう。最低限のワクチン接種や検査のみであまりにも費用が高い場合、その団体からの譲渡は注意する必要があります。

里親募集サイトや掲示板で保護猫を探す

最近は里親募集サイトや掲示板で保護猫を探すこともポピュラーになってきています。募集しているエリアごとに探したり、サイトの機能によっては年齢や種類ごとに探すことも可能です。

募集をかけているのは保護団体や個人で保護している人、やむを得ない事情で飼育ができなくなった人です。

里親募集サイトからの譲渡までの流れ

まずはサイト上やメール等で直接コンタクトを取り、里親の応募をするところから始まります。

  1. 気になる里親募集中の猫に応募をする
  2. 迎え入れる環境などの質問に応える
  3. 猫との顔合わせ
  4. 双方譲渡に同意したらトライアル(お試し飼育)へ
  5. お試し期間も問題なければそのまま譲渡へ

注意したい点として、①~②の時点で保護元による審査があります。審査と聞いて堅苦しいイメージを感じるかもしれませんが、「本当にこの人に任せて大丈夫か」と判断する大事な確認です。

家族全員が同意しているかどうかや、飼育環境に問題は無いか、経済的にも今後不安な要素は無いかなど、猫と生活する上で大事な確認でもあります。万全な準備をしていること、今後共に生活をしていく意識がちゃんとあることをしっかりと伝えましょう。

また、大抵の場合一匹の猫に対して複数の人が里親に名乗りを上げます。先着順のときもあれば、しっかり環境を整えられている人が優先されることもありますので、断られたとしてもめげずに他の気になる猫を探しましょう。

有名な所としては、「ペットのおうち」や「ジモティー」、「猫里親募集掲示板」があります。

里親募集サイトの注意点|譲渡費用トラブルに要注意

保護団体からの譲渡と同様に、こちらも譲渡費用に関するトラブルには注意が必要です。特に、ペットとしての生体費用を請求してくるような人からの譲渡は絶対にNGです。

里親募集サイトや掲示板は、あくまでも保護が必要な猫の譲渡に利用が限られます。しかし、中には生体販売の場として利用しようとする悪い利用者もいます。

保護するのにかかった必要経費や、交通費、適切な保護活動費以外を請求してくる場合はしっかりとその内訳を確認しましょう。

迎え入れる準備を万全にする

里親募集中の猫を探すのと並行して、迎え入れるための準備もしましょう。

環境のための準備

まずは迎え入れる猫のために必要な品を揃えておきます。最低限、下記のリストにあるものを準備しておく必要があります。

  • キャットケージ
  • キャリーケース
  • 猫用トイレ
  • 水飲み皿
  • 餌皿
  • 爪とぎダンボール
  • 猫用おもちゃ
  • 猫用タオル

キャットケージは迎え入れる猫のサイズに合わせて狭すぎないものが良いです。最近は2段~3段タイプのものもあります。高さのあるものはクッションを敷くなど、万が一の落下事故にも備えておきましょう。

猫砂とご飯は保護環境と同じものを揃える

猫砂とご飯に関しては、なるべく保護環境と同じものを与える必要があります。そのため、猫砂とご飯は譲渡が決まり、保護元から種類を聞いてから購入したほうが良いです。

猫は環境が変わることを嫌う生き物です。今までと違う猫砂だとトイレをしなくなったり、新しい種類のご飯だと食べなくなることもあります。ただでさえ知らないお家に来て怖がっている状況に、そのような変化で追い打ちをかけないよう、最初の段階はなるべく前の環境と同じようにしましょう。

安全のための準備

続いて、家そのものにも猫の安全のためにしなきゃいけない準備があります。

  • 玄関用の脱走防止柵
  • 窓用の脱走防止柵
  • ケーブル保護チューブ

最も気をつけなければ行けないのが猫の脱走です。猫によっては新しい環境がとても怖く感じてしまい、なんとかして脱走を試みようとします。ベランダや玄関など、ちょっと目を話した瞬間にロケットのごとく脱走をしようと試みる猫もいますので、絶対に対策するべきです。

また、電源コードなども齧ったりしてしまわないようになるべく隠すか、コードそのものを覆えるチューブもつけておくべきです。

他にも、高い所に登ってしまわないような工夫や、出てこれなくなってしまいそうな隙間は今のうちになるべく対策しておきましょう。

万全な準備をしておくと譲渡させてもらいやすくなる

予めこのような徹底した準備をしておくことで、保護元さんから譲渡してもらいやすくなります。

「この人なら任せて大丈夫」とわかってもらうためにも、そして迎え入れる猫のためにも抜かり無い準備をしておきましょう。

最初はケージの中へ、常に配慮をする

いよいよ猫との生活がスタートです。そしてここからが本番。猫が慣れてくれるまでは特に配慮が必要です。

迎え入れてから2週間~3週間はケージの中で生活させます。少し可哀想な気もしますが、慣れていないうちの開放は様々な危険があるため、心を鬼にしましょう。

環境の変化は大きなストレスに、体調を崩していないかチェックする

知らないお家に連れてこられ、知らない人が近くにいるという状況は猫にとって大きなストレスになります。そして、中にはストレスが原因で体調を崩してしまう猫もいます。

呼吸が早くなり、苦しそうにしていないか、くしゃみを繰り返したりしていないか、常に気にかけましょう。

干渉しすぎるのもNG

少し前の話と矛盾しますが、干渉しすぎるのも慣れていないうちの猫にとってNGです。

想像してみてください、知らないお家に来て、ケージの中に入れられ、知らない大きな人間が見つめてくる…逆の立場だったらとても怖くないですか?

しばらくすると、猫も「この人は危害を加えようとしない」と慣れてきますので、それまでは無駄な干渉をするのは避けましょう。

ケージ自体に目隠しをつける

猫は暗く、隠れられる場所を好みます。そのため、できることなら最初のうちはケージそのものに大きな布で目隠しをつけると良いです。

専用の布も売ってはいますが、カーテン用などの大きな布で覆えれば問題ありません。

驚かさないよう、大きな音がするものには要注意

猫は音にも敏感です。もしケージと同じ部屋にテレビや大きな音がするものがある場合は、極力音量を下げて使用しましょう。出来ることなら最低でも一週間ほどは使用しないことが望ましいです。

譲渡後の条件も確認し、忘れずに実行する

保護猫の譲渡は引き取って全てが完了するわけではありません。トライアル終了後にも保護元さんからいくつかのあるしてほしいことをお願いされているはずです。

去勢・避妊手術、定期的なワクチン接種

まだ去勢・避妊手術が済んでいない猫の場合はほぼ間違いなくするようお願いされているはずです。また、定期的な予防接種も同様に、どちらも猫のためにも必要なことですので必ず行いましょう。

元野良猫の場合、去勢・避妊手術は各自治体から補助金が出ます。補助を適用することで、オス猫の場合は4,000円~8,000円、メス猫の場合は6,000円~10,000円程度で手術することが出来ますので、必ず各自治体に確認しましょう。

定期的な成長報告

義務ではありませんが、成長具合を写真付きで報告すると非常に喜ばれます。

報告する頻度としては譲渡から一週間、一ヶ月、三ヶ月、以降一年ごとで良いので、どれぐらい成長したのか、どんな愛くるしい出来事があったのかをメール等で連絡してあげてください。

面倒に感じる人もいるかもしれませんが、堅苦しく思わず「うちの子見てみて!」と自慢するように連絡してあげても良いかもしれません。

猫にとって幸せな環境維持を

引き取った後、もうその猫はあなたの家族の一員です。そして、その子達は言葉で何かを伝えることはできません。私達が常に気を配り、幸せな環境を維持できるようにする必要があります。

決して再び保護が必要な悲しいことにならないよう、あなたの手で幸せいっぱいに育ててあげてください!